22年度 問題4② 経済用語 (正誤で×を選択) その2

4.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

②クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなど多くの企業がポイントのサービスの導入を進めているのは、消費者の他店、他企業への㋐「スイッチングコスト」を高めることなどで消費者の囲い込みを図ろうとしているためである。経済学的には、ポイントサービスは価格競争を㋑抑制する「装置」として機能し、完全競争的な市場に比べて消費者余剰が㋒減少すると考えられる。

【解説と解答】
ポイントサービスと価格競争についての問題です。
「スイッチングコスト」「消費者余剰」の意味が少し分かりませんが、気にせず、経験的・直感的・感覚的に考えます。
普通に考えれば、「抑制する」と「減少する」が合っているのかどうかですね。

「スイッチングコスト」は、意味が分からなくても想像するに、スイッチ(切り替わる)+コスト(費用)と考えると、競合他店や他企業へ消費者が流出しないためにかかる費用のことではないかと読みかえることができます。つまり、競争するには価格を下げるなどのコストが必要であり、価格競争が激しくなる、すなわち「㋑抑制する」は不正解であると考えます。
実は解釈も解答も間違いなんですね。
調べてみると、「スイッチングコスト」は競合他店や他企業へ消費者が移るときに、たとえば、今まで使っていた製品とは別の製品を使うときなどに、新たに要する購入費用や作業などの心理的負担など、消費者サイドに立った言葉で、消費者が他へスイッチするために負担する費用のことです。
つまり、この費用が高ければスイッチする気がしなくなるが、このコストが安かったら移ってみようかなと思うことですね。
つまり、移るためのコストが高ければ、移らなくて消費者を囲い込めるということになります。
競合がスイッチングコストを安くしても、自社を使い続けるとお得であり、移ると損するよということです。
具体的な手法として「クレジットカードのポイント」や「航空会社のマイレージ」が上げられています。
ポイントカードは同じものを使い続けるほうが無駄がないですよね。また、カードの特典もポイントになります。
何枚もクレジットカードを持っていてもメインで使用するカードは普通は1枚となるので、メインカードを使い続けてもらうためにポイントなどの特典を強化します。
マイレージも同様で、JALのマイレージを貯めているのであれば、ANAではなくJALを選ぶことが多いですね。
ここの問題では「スイッチングコスト」を高めることなどで消費者の囲い込みを図ろうとしてい、という表現を使っています。
もちろん「スイッチングコスト」を低くして消費者を呼び込むというほうが分かりやすいですが、真裏の考えですね。

それでは、ポイントサービスは価格競争にどう影響するのかが問題になっています。
当然、他社は消費者を呼び込むために価格も下げて競争するということになりますが、価格競争にも限界があり、最終的には同じような価格になり、同じ条件ではポイント特典を充実させているほうを選びます。ポイントであれば価格割引以上のポイントを付与することも可能になり、家電量販店のように価格よりもポイント合戦になります。心理的にも移るほどではありません。したがって、価格よりもポイント、ということでポイントサービスは結果的にメインの争いにはならず価格競争を「㋑抑制する」ことになり、「㋑抑制する」は正解となります。

「消費者余剰」は、これも意味が分からなくても想像してみますと、消費者の余りですので、特定の店や企業を決めていない消費者のことで、そのような自社に囲いたいフリーな消費者がどれだけいるのか、と想像します。すると、すでにポイントサービスで消費者を囲い込んでいるので、余剰は少ない、と考え、「㋒減少する」は正解だろうなあと想像します。
実は正解なんですが解釈が間違っています。
専門用語って難しい。

「消費者余剰」は立派な経済の専門用語で、消費者の数のことではなく、お金のことです。消費者がある商品を買うのに、これぐらいの値段だったら出せるという価格と実際に支払った価格との差額を「消費者余剰」といいます。
この商品を500円だったら買ってもいいと思っていたのに実際は300円だったので200円得したという200円が消費者余剰になります。
したがって、完全競争的な市場では、どんどん価格競争が激しくなって消費者はお得な買い物ができることになりますが、ある程度囲い込まれていると、スイッチするのは面倒だから、また、スイッチングにコストがかかるので、やっぱり今まで使っていたお店や商品を他店のほうが少し安かっても買おうと思ってしまう、ポイントが付くからよっぽどの価格差がない限り今までどおり買おう、となってしまいます。すなわち、最大限のお得にならなくても買うので、消費者のお得感=「消費者余剰」は「㋒減少する」ことになり、「㋒減少する」は正解です。

この問題ですが、基本的に㋐「スイッチングコスト」の説明から入っています。これが誤まった言葉とすると文章が続かないので常識的に考えて㋐「スイッチングコスト」は正解なのでスルーですね。すると㋑㋒についてのみ考えたらいいことになります。
そして、2つの専門用語を知っている人は少ないと思います。したがって、上に書いたように想像して問題を解きましたが正解を導くことはできませんでした。
ただし、文脈を考えると正解を導き出すことも可能です。
「ポイントサービスは価格競争を㋑抑制する「装置」として機能し、完全競争的な市場に比べて消費者余剰が㋒減少すると考えられる。」
「装置」として機能すのですから、何かを防止する意味を表し、直前の「抑制する」は日本語的に正解になるのです。ちなみに、反対語の「促進する」をいれると文脈が変になります。また、直後に完全競争的な市場に比べて、が直前と並列的に書かれているので、競争と反対の意味になることも想像できます。後段は、否定的な意味を考えると減少でいいのではと感じます。
以前にも書きましたが、文脈を想像すると正解は出てくるかもしれませんが、そんな時間はありません。
したがって、②は直感的に正解が出る可能性は高いですが、難問だと思います。

解答一覧

②→○

※この問題の解説が、これで合っているのか自信がありませんので、間違っていたらお詫びします。