22年度 問題14①②③ 消費者契約法 (正誤で×を選択) その2

14.次の文章のうち、正しいものには○、誤まっているものには×を、解答用紙の解答欄に記入 (マーク) しなさい。また、誤まっているものには、誤まっている箇所 (1ヵ所) の記号も記入 (マーク) しなさい。

① 消費者契約法は、消費者と事業者の間に存在する構造的な格差を前提として、契約締結過程および契約条項に関して、㋐事業者の一定の行為により消費者が誤認または困惑した場合について消費者に取消権を与え、また㋑消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部または一部を無効とすることなどを規定している。㋒消費者契約法は、消費者契約に関する民事ルールを定める法律であるから、すべての消費者契約に適用される
② 消費者契約法で「事業者」とは、㋐法人その他の団体および事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。「事業」とは、㋑営利目的で自己の危険と計算によって、一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に行うことをいう。個人事業主である八百屋がパソコン専門店から店の会計のためにパソコンを購入する場合、㋒「事業のために」契約の当事者となる場合に該当するので、この契約において八百屋は事業者にあたる
③ 消費者契約法は、㋐消費者契約における契約条項の明確化と情報提供に関する事業者の努力義務を定めている。㋑事業者が上記の義務に違反した場合の効果については同法に規定がないが、㋒この義務違反が事業者の不法行為責任の違法性を基礎づけることや、契約締結における信義則上の付随義務違反として私法的効果を生じさせることが考えられる

【解説と解答】

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(目的)
第一条  この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第四章 雑則
(適用除外)
第四十八条  この法律の規定は、労働契約については、適用しない

消費者契約法の条文どおりです。
まず、法律の第一条は必ずおさえておかなければなりません。
消費者契約法の適用範囲は、労働契約は除外されるという条項が定められているぐらいですので、このことは、しっかり覚えておいてください。
ということで、①は㋒が不正解となります。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(定義)
第二条  この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2  この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3  この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
4  この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法 (昭和四十三年法律第七十八号)第八条 の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

「事業」とは、「一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行」であるが、営利の要素は必要でなく、営利の目的をもってなされるかどうかを問わない。また、公益・非公益を問わず反復継続して行われる同種の行為が含まれ、さらには「自由職業(専門的職業)」の概念も含まれるものと考えられる。
なお、労働契約(雇用主に対して、従業員が労務の提供に服することを約する契約)に基づく労働は、自己の危険と計算によらず他人の指揮命令に服するものであり、自己の危険と計算とにおいて独立的に行われるものである「事業」という概念にはあたらないと考えられる。

事業を行っていない個人については、本法において当然に「事業のためにでもなく、事業としてでもなく」契約の当事者となる「消費者」と考えられるが、個人事業者については、「事業者」として契約の当事者となる場合も、「消費者」として契約の当事者となる場合もある。したがって、本法においては個人事業者が「事業のためにでもなく、又は事業としてでもなく」契約の当事者となる場合には「消費者」として取り扱うことが妥当である。
例えば、個人事業者が当該事業のためにパソコンを購入したが、同時に個人の趣味として同パソコンを使用するというように、「事業のために」契約の当事者となるか、それとも「事業のためではない目的のために」契約の当事者になるかの判断を一概に決めることができない場合がある。その場合については、個々の具体的契約に即して、「事業のために」契約の当事者となるかどうかを判断することになる。

こちらも条文どおりです。第一条に目的がきて、第二条に定義がきます。
ただし、今回の問題は条文の解釈が必要になります。
そこで登場するのが逐条解説です。残念ながら、消費者庁のHPは新しいバージョンに更新されていませんが、基本的な事項は同じです。

少し、引っ掛け的な要素もあり、時間がない状況と思われるので、即答に迷ってしまいます。
要は、事業者は法人であれば分かりやすいですが、個人事業主の場合は、当然、事業者となりますが、同時に、個人としての消費者にもなりうるのです。
いつもでてくる、パソコンの事例がありますが、事業のためか個人のためかで契約当事者が事業者となるのか個人となるのかが変わってきます。消費者になるのであれば消費者契約法が適用されますが、事業者となるのであれば消費者契約法は適用されず民法などの適用を検討しなければなりません。また、消費者センターの相談受付対象にもならないわけです。パソコンを事業にも趣味にも使用していた場合は、どちらが主に使うかという個々の状況を判断することになります。

㋐は条文そのままです。
㋑は「営利目的で」という部分が誤りで、事業という性質は営利であるかを問わないことがポイントです。
㋒は事業のために購入したパソコンですので個人事業主に該当し、正解です。
ということで、㋑が不正解となります。

消費者契約法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html

(目的)
(事業者及び消費者の努力)
第三条  事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない
2  消費者は、消費者契約を締結するに際しては、事業者から提供された情報を活用し、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。

㋐は消費者契約法の第三条です。

逐条解説より・・・ひとつ古いバージョンですhttp://www.consumer.go.jp/kankeihourei/keiyaku/chikujou/file/keiyakuhou2.pdf

本条は努力義務であるので、本条に規定する義務違反を理由として契約の取消しや損害賠償責任といった私法的効力は発生しない。

㋑は逐条解説にも書いてますが、常識的に考えて、努力規定に罰則はないという一般論で十分です。
㋒は逐条解説には書いてませんが、これも常識的に考えて、努力義務に違反すれば、他の法律、例えば、民法の不法行為や信義則違反に問えるということです。
したがって、③はすべて正解となります。

解答一覧

①→×㋒、②→×㋑、③→○